5月31日きょうは世界禁煙デー 自分と、大切な人のために行動を！

医療機関もサポート

　5月31日は「世界禁煙デー」です。たばこは、吸う人だけでなく、周囲の非喫煙者の健康にも影響するため、地域社会でも禁煙への取り組みは重要な課題です。たばこの害と禁煙の大切さについて、禁煙外来のある、いでうら医院（上田市）の出浦弦（げん）院長に解説していただきました。

世界禁煙デーとは

　１９８９年、世界保健機関（ＷＨＯ）の決議で決定。この日に合わせ、たばこの健康影響についての理解と関心を深めるためのさまざまな行事が世界各国で行われています。日本では５月31日～６月６日を「禁煙週間」として毎年、啓発活動が行われています。

たばこの煙には多くの有毒物質が

　たばこの害は、肺や気管といった呼吸器だけでなく、全身の臓器、器官に及びます。たばこの煙には５０００種類以上の化学物質が存在し、そのうち約２００種類以上が毒物、約70種類は発がん性物質です。火を使う紙巻きたばこの害はもちろん、加熱式たばこの健康への影響も懸念されています。

　妊婦の場合は、胎児の発育や生まれたばかりの赤ちゃんに重篤な危険を及ぼす可能性があります。

受動喫煙の怖さ

　他人のたばこの煙を吸い込む「受動喫煙」にも、喫煙者と同じ病気のリスクがあります。室内でたばこを５本吸うと、同室にいる人は受動喫煙で１本吸ったことになります。日本では、たばこに関連する疾患で年間約18万人が死亡していると推定されています。

三次喫煙（残留受動喫煙）にも注意を

　三次喫煙とは、たばこの火が消えた後も周囲に残留する化学物質を吸い込むことをいいます。ニコチンなどのたばこ残留物は、換気や消臭剤、空気清浄機では取り除くことはできません。また、喫煙者が吐き出す呼気には、30～45分間有毒物質が含まれていると考えられているため、喫煙後も配慮が必要です。

わずかの禁煙でも体調が改善

　数日の禁煙でも、味覚や嗅覚が改善し、歩行が楽になります。２週間～３カ月後には心臓や血管などの循環機能が改善し、１～９カ月たてば、咳やぜんそくが改善、スタミナが戻ります。１年後には、肺機能の改善がみられる人も。喫煙している人は、ぜひ試してみてください。

「禁煙外来」を利用して

　禁煙外来のある医療機関では、専門のスタッフが患者さんをサポートします。いでうら医院では、下記の４つの条件を満たす患者さんであれば、健康保険が適用され、少ない費用で禁煙治療が受けられます。

　治療は、８～12週間で５回の診察を受け、禁煙を助ける飲み薬や貼り薬を使います。自己負担の費用は、３割負担の場合１万８千円くらい（薬剤料・調剤料など別途必要）。たばこを買い続けることを考えると、決して高くはありません。

●1日の平均本数×これまでの禁煙年数が200以上

●現在たばこを吸っていて、直ちに禁煙しようと考えている

●治療についての説明を受け、同意書に署名できる

●ニコチン依存症テストの結果が５点以上である

★いでうら医院　上田市古里１４９９―29　☎0268・71・6078