桜ものがたり 「変わりどころ」も楽しんで
- weeklyueda2024
- 2024年3月23日
- 読了時間: 3分
更新日:2024年4月17日
そろそろ信州にも桜の便りが届くころ。一斉に咲き乱れるソメイヨシノもいいけれど、今年はちょっと違った樹種の桜にも注目してみませんか。
地域で見られる“変わりどころ”の桜をご紹介します。
✿ヨウコウザクラ(陽光桜)
先生の思いが詰まった「平和の木」
ソメイヨシノよりも一足先に咲き、大輪で紫がかった濃いピンク色がひときわ目立ちます。花の裏側にあるがくが深紅で反り返り、数輪がまとまって垂れ下がります。
第2次大戦で多くの教え子を失った愛媛県の学校教師、高岡正明。彼が、鎮魂と世界平和の願いを託し、「どんな地域でも花を咲かせるような丈夫な木に」と生涯をかけて研究を重ね、作り上げた品種です。
招魂社の境内には3本が植えられており、咲いている時期以外には枝におみくじが結び付けられています。
花言葉
「高尚」「心の美しさ」「あなたに微笑む」などのほか、誕生の経緯から「精神の美しさ」「優雅」なども。
【お出かけ場所】
上田城跡公園内招魂社(上田市二の丸4―6)

✿シダレザクラ(枝垂れ桜)
古寺の門前
樹齢120年の威容
ソメイヨシノよりも1週間ほど早く咲き、柳のように垂れ下がる枝にピンクや赤、白の花をたくさん付けます。エドヒガンの変種で、さまざまな品種があります。
上田地域では、武石地区の信廣寺門前の大木が「信廣寺の枝垂れ桜」として特に有名です。樹齢約120年、幹の回りが3㍍、高さが15㍍という威容を誇り、境内の鐘楼脇にも、大きなシダレザクラがあります。
近くには、御柱大祭が行われる子檀嶺神社(こまゆみねじんじゃ)があり、例年満開となる4月中~下旬には、参道がソメイヨシノで覆われる「桜のトンネル」となります。
花言葉
「円熟した美人」「優美」など、年を重ね、頭を垂らす美しい様から。
【お出かけ場所】
信廣寺(上田市下武石582)

✿ロトウザクラ(魯桃桜)
信州の図書館にある
シンボルツリー
寒風の中で最も早く花を咲かせ、小さめの淡いピンク色の花びらがかわいらしい、桃に近い品種です。夏になると小さな桃の実がつきます。
日露戦争(1904~5年)に出征した軍人が持ち帰ったと言われることから、魯西亜(ロシア)の「魯」と、桃のような特徴から「魯桃桜」の名に。
1933(昭和8)年、旧県立図書館長、乙部泉三郎と植物学者の小山海太郎が、佐久市の小学校にあった大木から取った枝を接ぎ木しました。旧県立図書館(現長野市立図書館)の庭に植えた後、その実生苗が県内各地の図書館に配られました。岡谷図書館など一部は今も花を咲かせています。

残念ながら上田図書館の木=写真=は、2020年に倒木の危険があり伐採。
上田城跡公園内の市立博物館の裏手では、ケヤキ並木西側土手の上から6本のロトウザクラが間近に見られます。
【お出かけ場所】
上田市立博物館の裏手(上田市二の丸3―3)

ソメイヨシノ 誕生秘話が解明か?
日本を代表する桜で、「開花情報」の対象でもあるソメイヨシノ(染井吉野)は、人の手によって接ぎ木や挿し木で広がった品種。
全ての木が同じ遺伝子を持つクローンのため、気象条件などが同じ場所では一斉に開花し、一斉に散ります。
誕生の経緯は、野生種の自然交雑で生まれたとの説や、江戸時代に植木職人が交配して作ったという説などがあり、今も不明です。2015年、千葉大学の研究チームが「東京の上野公園にある1本を原木に全国に広まった可能性がある」との研究結果を明らかにし、誕生秘話が解明されるか―と話題になりました。
.png)




コメント