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桜ものがたり 「変わりどころ」も楽しんで

更新日:2024年4月17日

 そろそろ信州にも桜の便りが届くころ。一斉に咲き乱れるソメイヨシノもいいけれど、今年はちょっと違った樹種の桜にも注目してみませんか。

 地域で見られる“変わりどころ”の桜をご紹介します。


✿ヨウコウザクラ(陽光桜)

先生の思いが詰まった「平和の木」

 ソメイヨシノよりも一足先に咲き、大輪で紫がかった濃いピンク色がひときわ目立ちます。花の裏側にあるがくが深紅で反り返り、数輪がまとまって垂れ下がります。

 第2次大戦で多くの教え子を失った愛媛県の学校教師、高岡正明。彼が、鎮魂と世界平和の願いを託し、「どんな地域でも花を咲かせるような丈夫な木に」と生涯をかけて研究を重ね、作り上げた品種です。

 招魂社の境内には3本が植えられており、咲いている時期以外には枝におみくじが結び付けられています。

花言葉

「高尚」「心の美しさ」「あなたに微笑む」などのほか、誕生の経緯から「精神の美しさ」「優雅」なども。


【お出かけ場所】

上田城跡公園内招魂社(上田市二の丸4―6)


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✿シダレザクラ(枝垂れ桜)

古寺の門前

樹齢120年の威容

 ソメイヨシノよりも1週間ほど早く咲き、柳のように垂れ下がる枝にピンクや赤、白の花をたくさん付けます。エドヒガンの変種で、さまざまな品種があります。

 上田地域では、武石地区の信廣寺門前の大木が「信廣寺の枝垂れ桜」として特に有名です。樹齢約120年、幹の回りが3㍍、高さが15㍍という威容を誇り、境内の鐘楼脇にも、大きなシダレザクラがあります。

 近くには、御柱大祭が行われる子檀嶺神社(こまゆみねじんじゃ)があり、例年満開となる4月中~下旬には、参道がソメイヨシノで覆われる「桜のトンネル」となります。

花言葉

「円熟した美人」「優美」など、年を重ね、頭を垂らす美しい様から。


【お出かけ場所】

信廣寺(上田市下武石582)


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✿ロトウザクラ(魯桃桜)

信州の図書館にある

シンボルツリー

 寒風の中で最も早く花を咲かせ、小さめの淡いピンク色の花びらがかわいらしい、桃に近い品種です。夏になると小さな桃の実がつきます。

 日露戦争(1904~5年)に出征した軍人が持ち帰ったと言われることから、魯西亜(ロシア)の「魯」と、桃のような特徴から「魯桃桜」の名に。

 1933(昭和8)年、旧県立図書館長、乙部泉三郎と植物学者の小山海太郎が、佐久市の小学校にあった大木から取った枝を接ぎ木しました。旧県立図書館(現長野市立図書館)の庭に植えた後、その実生苗が県内各地の図書館に配られました。岡谷図書館など一部は今も花を咲かせています。



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 残念ながら上田図書館の木=写真=は、2020年に倒木の危険があり伐採。









上田城跡公園内の市立博物館の裏手では、ケヤキ並木西側土手の上から6本のロトウザクラが間近に見られます。


【お出かけ場所】

上田市立博物館の裏手(上田市二の丸3―3)



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ソメイヨシノ 誕生秘話が解明か?

 日本を代表する桜で、「開花情報」の対象でもあるソメイヨシノ(染井吉野)は、人の手によって接ぎ木や挿し木で広がった品種。

 全ての木が同じ遺伝子を持つクローンのため、気象条件などが同じ場所では一斉に開花し、一斉に散ります。

 誕生の経緯は、野生種の自然交雑で生まれたとの説や、江戸時代に植木職人が交配して作ったという説などがあり、今も不明です。2015年、千葉大学の研究チームが「東京の上野公園にある1本を原木に全国に広まった可能性がある」との研究結果を明らかにし、誕生秘話が解明されるか―と話題になりました。

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