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「文月」に暑中見舞いを思いやりの心を手書きで届けよう

©すもも
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 7月は「文月」。自分の思いを文章で伝える方法は、今ではスマホやパソコンが主流ですが、直筆の手紙やはがきは、相手に伝わる思いがいっそう深まります。

 今年の夏は、あえて手書きの「暑中見舞い」で涼しさを届けてみませんか。

(監修:和道文化学院)


「暑中見舞い」と「残暑見舞い」

©すもも
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 いずれも、暑さの厳しい季節に相手の健康を気遣う便りです。「暑中見舞い」は二十四節気の小暑(今年は7月7日)から立秋の前日(同8月6日)に届くように送ります。立秋以降になるなら「残暑見舞い」に。近年は残暑も長く続きますが、それでも二十四節気の白露(同9月7日)よりも前に届くように送りましょう。







基本的な文面

 昔ながらの手書きのはがきには、温かみと特別感があります。基本マナーを押さえ、気軽に出してみましょう。基本的な順序は右の通りです。


①「暑中(残暑)お見舞い申し上げます」で始め、文末に句点(。)は付けない

②時候のあいさつから始め、近況報告、健康を気遣う言葉、今後の交流の願いなど

③本文の最後は「ご自愛ください」などの結びのあいさつを

④末尾の行は先頭を2文字くらい空け、日付を書く。「令和7年 盛夏」


※喪中の相手には送らない、と書いてあるマナー本もありますが、書き方に気をつければ暑中見舞いを出しても構わないと思います。年賀状がなかった分、心配りに感謝し、喜んでもらえるのではないでしょうか。


切手やはがき選びの工夫

 暑中見舞い用には、海、七夕、竹、アヤメなど、夏を連想させるものはもちろんですが、逆に「雪景色」で涼しさを届けるといった遊び心も〝あり〟でしょう。また、封書ならば「文香(ふみこう)=写真左上=」を添えることも。先方が封を開けたときにふわりと香りが漂う優雅な贈り物です。



相手のことを思って、一筆したためる

 手紙文化を大切にしている「和道文化学院」(上田市古里)の渡辺香代子さんに、手書きの便りの良さについて聞きました。


文香を封筒に
文香を封筒に

 便りというのは、もらうとうれしいけれど、自分が書くのはどうも…という気持ちは分かります。字や文章に自信が持てないという理由ではないでしょうか。そんな皆さんに、私は「拙誠(せっせい)」という言葉をご紹介します。「拙(つたな)くとも誠を尽くす」という意味で、私が身を置くお茶の世界は、現代でも手紙やはがきでのやりとりが多いのですが、私はいつも「拙誠」の気持ちで書いています。


 手紙やはがきをもらってうれしいのは、その人が自分のために手間と時間をかけてくれたことをありがたく、貴く感じるからでしょう。あなたが誰かにしたためる便りも同じことです。達筆でも名文でもなくても、先方はあなたの字や文章を決して笑ったりしません。


©すもも
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 さて、暑中(あるいは残暑)見舞いを誰に書いたらいいでしょうか。「恩人」がいるなら、その方に書くことを、私はお勧めします。

 私は以前「小さな恩は返しようがあるが、大恩には報いることができない」という言葉を聞いたことがあります。私も半生を振り返り、実感しています。報いることができないほどの大恩ある方にこそ、折に触れて気遣いの一筆をしたためる。そうやって「恩義を感じる心」を伝え続けるのが、せめてできることではないかと思うのです。

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