生ごみを堆肥へ長和町と東御市の環境にやさしい取り組み
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- 3月15日
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東御市と長和町では今、毎日の暮らしで出る生ごみを堆肥に変える取り組みを進めています。両市町はそれぞれ専用の施設で生ごみを堆肥化し、焼却ごみを減量して環境負荷を軽減しています。日常生活の中で持続可能な社会づくりに参加する、両地域の取り組みを紹介します。
分別するだけでごみが減る!

可燃ごみの中に生ごみが占める割合は約4割と最多で、その約8割は水分と言われています。それだけに、焼却の際には多くの化石燃料が必要となり、地球温暖化の原因になる二酸化炭素(CO²)も多く排出することになります。
長和町では2012(平成24)年から、ごみの焼却量を減らすために生ごみのリサイクルを推進し、東御市は2018(平成30)年から本格的に堆肥化の取り組みを開始しました。その結果、東御市では令和5年度に生ごみとして出された513㌧が生ごみリサイクル施設「エコクリーンとうみ」で処理され、27㌧の堆肥になっています。

長和町では、長門牧場近くの生ごみ堆肥化処理施設「くるりん」で、生ごみの堆肥化に加えて下水汚泥の処理にも取り組んでいます。処理された〝資源〟の活用にも力を入れ、2021年には「ながわ1号」という名称で国の肥料登録を受け、粒状に加工しています。
生ごみが堆肥に生まれ変わるまで
東御市と長和町では、生ごみを専用の袋に入れて回収しています。一見普通のビニール袋ですが、自然や微生物の働きによって分解される特性があります。そのため、回収された生ごみは、袋ごと特殊な発酵菌と混ぜて処理されます。

この発酵菌の働きで、生ごみの温度は80度以上になり、どんどん分解が進みます。1次発酵(7日間)と2次発酵(21日間)の工程を経て、約4週間で堆肥へと生まれ変わります。できあがった堆肥は、搬入された生ごみの量の約5%です。
長和町では、2023年度の提供量は69・4㌧。下水汚泥等と混合した堆肥の一部を希望した町民に無料配布したほか、試験的に大規模農家に使用を勧めています。

東御市では年間約26㌧の堆肥が市民に配布されており、家庭菜園や農地で活用され、野菜や花の栽培に役立てられています。
気になるにおいは?

堆肥化と聞くと、臭いが気になるところですが、東御市の専用施設「エコクリーンとうみ」では施設全体を密閉し、さまざまな方法を組み合わせて臭いの発生を抑えています。
脱臭装置では、集塵(じん)機にて空気中のちりやほこりを水で取り除いた上、薬品を使って臭いの元となる成分を変化させるなどしています。さらに、木製チップなどを使った脱臭フィルター(生物脱臭槽)を通すことにより、チップ内の微生物の働きで臭いを吸収・分解しています。

こうした対策により、施設では臭気の厳しい基準をクリアしており、周辺環境への影響はほとんどありません。また、できあがった堆肥も、実際に嗅いでみると普通の肥料のようでした。
「環境のため」多くの住民が協力
東御市や長和町では、多少なりとも「手間がかかる」生ごみの分別について、住民の大きな反対はなかったといいます。長野県は全国的に見ても環境意識が高く、住民1人あたりのごみ排出量が全国で最も少ないことでも知られています。両地域でも、「自分たちの生ごみが役立つなら」と積極的に協力する人が多いようです。
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