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大人も楽しめる「雪」がテーマのおすすめ絵本

©すもも
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 立春を過ぎたとはいえ、厳しい寒さはまだしばらく続きそう。もう冬はいいよ…と思えてくるころですが、そんな時季には絵本を楽しんでみませんか。絵本は子どもたちだけのものではなく、アートや言葉遣い、独特な世界は大人でも十分に楽しめます。上田市教委などが市内の小学校で児童に本を紹介する事業「本はともだち」で講師を務める山浦美幸さんに、「雪」をテーマにした絵本を紹介してもらいました。


こうさぎと4ほんのマフラー

わたりむつこ/作 でくねいく/絵 のら書店


 主人公は子ウサギ4きょうだい、「とび」「くるり」「かりかり」「こみみ」。そのかわいさに、おばあちゃんが編んでくれた4本のマフラーの色が相まって、読む人を物語に引き込んでいきます。雪に覆われた野山で子ウサギたちが遊ぶ様子は、ページをめくる手を止めて隅々まで堪能したくなる美しさです。雪の湿った感じや氷の硬さ、子ウサギの毛の質感や体温を感じさせる絵と子ウサギたちの行動がお互いを引き立てています。







ゆきのもりのおくりもの

リンデ・ファース/文・絵 岩波書店


 お父さんと2人で暮らしているらしい女の子・ソフィー。彼女の置かれた状況をぎりぎりまでそぎおとした文章と情感に流されない絵が醸し出す世界は、絵本ならではの味わいがあります。ソフィーが家を抜け出し、町を抜けて出会うのがヘラジカというのもいかにも北欧らしい。ヘラジカに導かれて向かう森は広さと深さを感じさせます。ソフィーの心情と雄大な自然が織りなす物語は、結末に向けて大きな満足感を与えてくれるでしょう。








ゆきのこえ

おーなり由子/ぶん はたこうしろう/え 講談社



 雪が積もった朝、妙に静かでほんのり明るい独特な雰囲気、そして雪景色を見て高揚する気持ちまでが伝わってきます。主人公の男の子の生き生きした表情や、あふれる生命力が余すところなく描かれていて、読んでいる側も元気になります。読者の過去の経験を呼び起こす力がある作品なので、幼い子どもから楽しめますが、大人の方がより楽しめるかもしれません。雪が降ってワクワクする気持ちがぎゅっと詰まった作品です。








雪の写真家 ベントレー

J・B・マーティン/作 M・アゼアリアン/絵 BL出版


 子ども時代から雪に魅せられ、雪の研究と結晶の写真撮影に生涯を捧げたウィルソン・ベントレーの伝記絵本です。子どものころはもちろん、大人になっても農夫として暮らしながら、評価されることを目指さずに知りたいことを追求するベントレーの姿に圧倒されます。表紙のカメラがどんなものか想像できる大人の方がより感銘を受けるかと思いますが、随所に解説もあるので、子どもにもベントレーの熱意が伝わります。





ご紹介した本は書店でも求められるほか、『こうさぎと4ほんのマフラー』以外は上田図書館ネットワーク「エコール」の図書館にも蔵書があります。

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